小川町駅から徒歩3分の距離に民間の観光案内施設「おいでなせえ小川町」があります。そこの共同経営者の一人である五十嵐康博さんにまちづくりへの思いなどについて伺いました。

都内の観光専門学校卒業後、観光業に20年以上に渡り携わる。その経験を活かした地域貢献を目指し、ビジネスパートナーとの共同経営にて「株式会社おいでなせえ」を立ち上げ、小川町の自然資源を活かした地域活性化を進める。2019年には町議会議員に立候補、当選し、現在2期目。観光をテーマとした持続可能なまちづくり、「観光まちづくり」を目指して活動中。
実際今具体的においでなせえで走らせている事業ってどんな感じなんですか。
この駅前のアンテナショップでは地域のお酒や和紙など物産の販売とか、レンタサイクルとか。あとはサイクリングイベントや体験型ワークショップの企画など。「観光」というキーワードを通してまちづくり、地域おこしに繋げていくような活動をしています。
今、熱いと思っているのは、一つは楮(こうぞ。和紙の原料となる)っていうものは本当に活かしていけたら面白い。面白い仕組みが出来たなって自分でも思っていて。今まで和紙っていうものとは別に、食(しょく)っていう新しい形が作れそうなんで。楮寿園(こうじゅえん)っていう楮を食に活かすブランドを作ってて。それが広げていけたらっていうのが今すぐ成り立たなくても、10年後、20年後に自然とそういう状況が、地域の人達が、それって面白いよね、っていうかいつはじまったの? 当たり前だよねってなっていたら面白いじゃない。
それが観光まちづくりって、自分がワクワクする場所なんだよ。それに対して何をしたら良いのかとか、どんなことすればいいのか、どんな学びが必要なのかっていうのは、本当に苦しんで、手繰り寄せて、色んな人達に助けて貰いながら成果を探しているだけ。
「観光まちづくり」への思いを教えてください。
特別なことをしているわけではありませんが、長年携わってきた観光業と、地元の方々に支えられながら歩んできた道が、今の私を形作っていると強く感じています。「観光」というと、従来の切符を売ったり宿を手配するだけのように思われがちですが、私はもっと社会的な意味があり、深みのある観光を目指しています。東日本大震災やオーガニックフェスを通じて、観光の力とその可能性を実感しました。
観光には、一人の発想や力でも、より大きな力が集結する魅力があります。それこそが観光の本当の力であり、未来を築く力だと私は感じています。私ができることを通じて地元に還元し、持続可能な仕組みを築きながら、地域の発展に貢献できることが本当に素晴らしいことだと思います。そして、その一歩一歩が積み重なって、今の形になってきたのだと思います。もちろん、これを実現するためには、私一人では達成できなかったことだという認識を持っています。それこそが「観光まちづくり」の本質であり、私はそれを強く感じています。
最終的には、この活動が地域に根付き、このまちづくりが地域の人々にとって本当に意味のあるものだと感じてもらえることを目指しています。まだ小さな力ではありますが、微細なものでも心を込めて積み重ねていくことに変わりはありません。その積み重ねが形となり、地域の中で実際に役立っている瞬間を感じることこそ、私たちにとっての最大の喜びです。

五十嵐さんが目指しているものは、比企出しにも通じるところがあると感じますね。未来に向けて、うまく回っている仕組みを作っていく。その過程は正に“応用”の連続で、他にはない新しい仕組みを創り出す姿が見えます。
日々、試行錯誤と課題を重ねています。最近の鬼瓦の表札づくりワークショップなども、一つの形になったと感じたところで、時代の流れが新たな波を作り出します。その繰り返しの中でゴールは遠く、成功と言える瞬間が少ないかもしれません。それでも、挑戦を続けられることが、私にとって大きな幸せだと実感しています。
20年の経験を経て40歳を迎え、人生の残りの時間を考えたとき、次の世代に少しでも自分が受けた恩恵を還元したいと考えるようになりました。自分が得たものを次世代に「ギフト」として届けることが、何よりの充実だと思っています。
そして、その活動が次の世代にとって「これなら面白い!」と思わせ、彼ら自身が手を取って一歩を踏み出したくなるような仕組みを作り出していきたいです。
議員活動やおいでなせえ、玉淀観光など、一度に複数の重要な役割を担っていると、時間やエネルギーのマネジメントが大変ではないですか?
責任の重さを実感する日々です。正直なところ、時々その切り替えが難しく、目の前のことに集中していると次のステップを踏むタイミングを逃してしまうこともあります。「これをやっている時はこれ、次はこれ」と切り替えるのがうまくいかないときもあって、そのたびに反省してる。
だけど、どんな時でも前に進み、仲間と共に歩み続けることが大切だって思ってる。自分が本当にやりたいことをもっと整理し、これからどう生きるべきかをさらに明確にしていかなければって感じています。
最後に、比企出しへのメッセージをお願いします。
町の中で横断的な活動を継続できる人は限られていると思うんだよね。理念を掲げることは大切だけど、その活動を持続させるためには単なる個人の継続力だけでは足りないって思う。私たちもまだ未熟で、足元が定まらないこともあるけど、共に支えてくれる仲間たちがいるからこそ活動を続けることができてると思います。
まさやんは、その大切な仲間の一人だよ。火を灯し、育て、広げていくことで楽しいことが広がって、町に元気を取り戻すって信じています。お互いに支え合いながら、次のステージに進むことで素晴らしい未来が拓けるって確信しています。
ありがとうございます。
A Note from the Interviewer
五十嵐さんとは7~8年ぐらいの付き合いになりますが、はじめて会った時から地域おこしに対する尋常ではない熱量を感じていました。
その後、2019年に一緒に町議選に出馬し、私は残念ながら落選しましたが五十嵐さんは当選、それ以来町議として活躍し続けています。
また、地域おこしの会社として2021年の3月に株式会社おいでなせえを設立。比企出しの設立が2021年5月ですので、私は常に五十嵐さんを追いかけ続けているような気がしています。
誠実を絵に描いたような彼と同じ時代を生き、地域おこしという同じ目標に協力し合って一緒に取り組んでいけることがとても幸せなことだと感じています。
—Masaya Nagakura
About the Author

- Representative Partner & CEO, Hikidashi LLC
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Masaya Nagakura is the founder and representative of Hikidashi LLC.
Before launching the company in May 2021, he spent over 20 years in management as a founding member of Eco Design Co., Ltd.
Today, he is fully dedicated to making the Hiki region shine.
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