
比企ストーリーでは、今回を皮切りに比企地域の魅力的な飲食店やお店を定期的にご紹介していきます。
記念すべき第1回は、埼玉県ときがわ町にある人気の絶景カフェ「6 hundred cafe(シックスハンドレッドカフェ)」です。
堂平山の標高600mにある特別な場所
6 hundred cafeは、ときがわ町の堂平山の中腹、標高約600mの場所にあります。
店名の「6 hundred」は、この標高600mに由来しています。しかし、その名前にはもう一つ意味が込められているそうです。
それは「人間が本来持つ第六感を呼び覚ましたい」という想い。
自然豊かな山の中で、美しい景色や人との出会いに触れることで、普段の生活では眠っている感覚が目を覚ます。そんな場所でありたいという願いが込められています。
お店がオープンしたのは2023年6月1日。オーナーの松尾良実さんが、心のバランスを崩してしまった甥御さんの居場所づくりをきっかけに立ち上げました。

木工所から生まれ変わった絶景カフェ
現在のカフェの建物は、もともと木工所として使われていた建物でした。
松尾さんは約10年前にこの物件を購入。当初は建物の裏側に木々が生い茂り、その先の景色を見ることはできませんでした。
ところが、裏山の木を伐採したところ、そこには思いもよらない絶景が広がっていました。
天気の良い日には遠く東京方面まで見渡せる眺望。
「この景色を多くの人に見てもらいたい」
そんな想いから、絶景を楽しめるカフェづくりが始まったそうです。
さらに興味深いのは、伐採した木を無駄にしなかったこと。
松尾さんは古い製材機を購入し、自ら木材を製材。現在のテラスや施設の一部には、その木材が活用されています。
コロナ禍で木材価格が高騰した際も、自前で製材した木材を活用することで改装費用を大幅に抑えることができたそうです。
現在は、その経験と技術を活かし、リフォーム事業も展開されています。

昭和の名車が迎えてくれるカフェ
店内に入ってまず驚くのは、一台のクラシックカーです。
1972年式のトヨタクラウンが堂々と展示されており、その存在感に圧倒されます。
洗練されたカフェ空間と昭和の名車。
一見すると異なる要素ですが、不思議なほど自然に調和しています。
東京から移住し、この場所に魅せられた八木さん
今回お話を伺ったのは、スタッフの八木望さんです。
八木さんはもともと東京在住でしたが、約5年前にときがわ町へ移住されました。
その経歴は実にユニークです。
20歳頃にイスラエルのキブツへ留学し、3年間にわたり歴史を学びました。帰国後はIT企業や介護施設で勤務し、介護施設では施設長を務めるまでになったそうです。
そんな八木さんが松尾さんと出会ったのは偶然でした。
友人としてカフェのリフォームをボランティアで手伝ったことがきっかけとなり、その後この地に移住。現在は6 hundred cafeで働いています。

「面白い船に乗せてもらっている」
松尾さんの活動はカフェだけにとどまりません。
キャンプ場運営、リフォーム事業、サクソフォン関連事業、中古車販売、学習塾経営など、その事業領域は驚くほど幅広く、多彩です。
八木さんはそのすべてに関わっているわけではありませんが、次々と新しい挑戦を続ける松尾さんについて、
「誰もやっていないようなことを次々に形にしていく。その姿を見ていると、自分は『面白い船に乗せてもらっている』と感じます」
と語ってくださいました。
その言葉が、この場所の持つ魅力を象徴しているように感じました。

インタビュアーのひとこと
今回訪問して特に印象的だったのは、この場所が単なるカフェではないということでした。
一緒に訪れた父・長倉正昭は、
「未来の社会のモデルがここにある」
と語りました。
私自身も同じような感覚を抱きました。
昔へ回帰するのでもなく、産業革命以降の効率性だけを追求するのでもない。
自然、技術、人とのつながり、地域資源、そして個人の創造性。
それらを一つひとつ組み合わせながら、新しい生き方や働き方を模索している場所のように感じられたのです。
もしかすると、店名に込められた「第六感を呼び覚ます」という想いは、こうした感覚そのものを指しているのかもしれません。
今回は残念ながらオーナーの松尾さんにはお会いできませんでしたが、ぜひ次回は直接お話を伺ってみたいと思います。
そして最後に一言。
いただいた水出しコーヒーは、本当に絶品でした。
堂平山の絶景とともに味わう一杯は、ときがわ町を訪れた際にぜひ体験していただきたいと思います。

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